干潟のダンサー 〜

ハクセンシオマネキ

ハクセンシオマネキ(スナガニ科) 学名 Uca lactea

 ハクセンシオマネキは,砂質干潟に生息するスナガニ科のカニです.合津マリンステーションのある天草松島には特に多く,日本有数の生息地として知られています.体長は1cm程度と小さいカニで,干潟に深さ20〜30cm程のJ字型の巣穴を掘り,その周囲をなわばりにしています.餌は底生珪藻やバクテリアで,ハサミで干潟の砂粒をつまみ取っては口に運び,なめるようにして食べます.残った砂粒はまとめて捨てるので,直径2〜3mmの“砂団子”になります.
 繁殖期は,6月中旬から8月中旬で,この時期になると雌雄とも体色が乳白色に変化します.雄は巨大ハサミを降って求愛のダンスを踊り,雌を巣穴に誘って交尾をします.これを巣穴内交尾といいます.他に,雄が雌の巣穴まで出かけて,巣穴の入口で交尾を行う表面交尾と呼ばれる交尾も行います.なぜ,2つの交尾様式があるのかは,動物行動学の興味深いテーマの1つです.

目次  1.スナガニ類

     2.分布と生息場所

     3.巣穴とフード

     4.生活史

     5.行動

     6.その他